メディアの手帖

このブログは、メルマガ「IDOL TODAY」の編集者である畑中 智晴が、日々のメディアの動きや最近のNEWSなどを取り上げ、コメントするブログです。 (但し、毎日更新とは限りませんので悪しからず)

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今、ディープインパクトについて分かっている事

ディープインパクト、父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア、母の父Alzaoの4歳鹿毛の牡馬。2002年3月25日早来町ノーザンファーム生まれ、オーナーは図研社長の金子真人氏(のちに馬主は法人化され現在は「金子真人ホールディング」名義)、所属は栗東の池江泰郎厩舎、デビューから一貫して武 豊騎手が手綱を取っている日本を代表するスターホースだ。
2004年12月に阪神でデビュー以来、翌年の菊花賞で史上6頭目(史上2頭目の無敗)の三冠馬に輝くまで無敗であったが、同年の有馬記念でハーツクライの後塵を拝し2着。今年は阪神大賞典から始動し、春の天皇賞と宝塚記念を勝利して、まさに国内無敵の感をいっぱいにして、初の海外遠征となる10月1日のパリ郊外・ロンシャン競馬場での凱旋門賞に臨んだ。
結果は3歳馬2頭に交わされての3着ではあったが、同世代では最高着順だった事を考えると大健闘といえるのではなかったか?
しかし、レース後に管轄するフランスの競馬統括団体・フランスギャロが行った薬物検査(理化学検査)によってフランスの競馬施行規則で使用禁止となっている「イプラトロピウム」が検出されたとJRAに通知があって、現在揺れ動いている。
同馬は現在帰国後の着地検疫で東京競馬場の国際厩舎に滞在しており、秋の天皇賞へ向けて調整が行われている。果たしてディープに今何が起こっているのか?ネット上での情報の混乱の整理と、加熱する議論の冷静化を計るべく、ここでは今ディープインパクトに付いて分かっている事を紹介しておく。

19日にこの件に関してJRA六本木事務所で記者会見が行なわれた。その際にフランスギャロの広報発表の日本語訳が紹介されている。

2006年10月1日(日)にロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞競走において、ディープインパクト号は3着となり、理化学検査(検体採取)の対象となった。
(禁止薬物の理化学検査は、日本においては3着以内(地方では施行者によっても異なるが2着以内の場合もあるし3着以内の場合もある)と裁決委員がレース出走馬の中からランダムに指定した馬について行なわれている。この制度は、日本やフランス等、世界の競馬開催国において広く採用されているもので、対象馬からレース後採取された検体(尿もしくは血液)は、二つに分割されて検査機関に送られ検査される。(JRAにおいては日本中央競馬会競馬施行規程第111条の2以降に理化学検査についての規定がある))

 A検体の分析は競走馬理化学研究所(仏)で実施されその結果、イプラトロピウムが検出された。この薬物は呼吸器系に作用する気管支拡張剤であり、フランスギャロ競馬施行規程の禁止薬物にあたる。
(20日付けの毎日・読売両紙によれば、パリの競走馬理化学研究所で行なわれたこの検査結果をJRAのパリ駐在員事務所が受けたのが日本時間の13日午後10時の事)
 B検体はフランス調教師会の指定により、香港ジョッキークラブの理化学研究所に送付され、A検体と同様の検出が確認された。
(20日付けの日刊スポーツによれば、18日に行われたこの検査結果をJRAが受けたのが19日の事)
(理化学検査は、人間のスポーツにおける「ドーピング検査」に当たる。まず分割された最初の検体(A検体)について検査を行い、禁止薬物が検出された場合は、保存されていたもう一方の検体(B検体)にA検体と同じ禁止薬物が存在するかどうかを確認する。日本においては財団法人競走馬理化学研究所がその任に当たり、A検体について検査して禁止薬物が検出された場合は、理化学検査に関する学識経験者から理事長が委嘱した立会人の立会いの元でB検体についての検査が行なわれる。)

 この状況に関し、フランスギャロ審査委員会は競馬施行規程201条に従い、仏国および日本において調査を行った。
 フランスギャロの獣医師によりディープインパクト号の関係者に対する聞き取り調査が実施された結果、同馬のフランス滞在中に、上記薬物を用いた治療が行われていたことが判明した。
(これについては、翌日の読売新聞が「原因は投薬ミスの可能性が高い」と報じている(別掲))
 この調査に続き、フランスギャロ審査委員会はディープインパクト号の馬主および調教師を召喚し、調教師責任の精査および競走馬の失格について規定している競馬施行規程に従って処分を決定する。
(翌日のスポーツ報知によれば、「必ずしもフランスへ来る義務はなく、書面による釈明も可能」としており、「11月までに処分を決定する」としている)
(日本語訳は以上)

JRA六本木事務所での記者会見には、JRAから金田裕之審判担当理事・西村啓二馬事担当理事他2名が出席し、100人の報道陣が集まった。以下に理事達の説明を紹介しておく。
・禁止薬物の規定や着順の取扱いは、地域によって異なり、日本では競馬法第31条を受けて、競馬施行者が禁止薬物(52品目・65種類)を規定している。(JRAでは日本中央競馬会競馬施行規程79条と別表2に規定あり)禁止薬物が検出された後、ただちに失格となる。
欧州の場合は「体内に存在しない全ての物質」を禁止薬物の対象としている。禁止薬物が検出された後は、審査委員会が開催され、審査結果を受けて失格が確定する。
・現在のディープインパクトは「禁止薬物が検出された」という段階であり、今後のフランスギャロの審査委員会の対応を待って、JRAではしかるべき対応を取る。
JRAとしても早期の決着を促すとともに、フランスギャロからの協力要請があれば協力する。それ以上のことに関しては、フランスギャロの決定を待ちたい。
(日本中央競馬会競馬施行規程126条18号に「外国の競馬の競走の公正かつ安全な実施を害する行為をした者」に対しては調教若しくは騎乗停止、戒告、又は500,000円以下の過怠金を課すという規定がある(但し現地の統括機関によって戒告若しくは過怠金の賦課に相当する処分を受けた者は除く)。なお同規程の127条3号により日本での処分決定は裁決委員会の手によって行なわれる)
・処分としては「着順の取扱い」と「人間への処分」ということになるが、フランスギャロからの連絡では、馬そのものに出走制限を課すつもりはないとのこと。日本国内での出走には差し支えない。レース後3週間が経過しており、現在は薬物の影響下には無いものと思われる。
・イプラトロピウムは日本では禁止薬物とはされていない。日本では動物用のこの薬は流通していない。日本での理化学検査では検出されたことはない。今後は他の気管支拡張剤も含め、禁止薬物とする方向で考えている。
(同日付の毎日新聞によれば、農林水産省も動物用医薬品としては認可していないそうだ)
・今後の海外遠征に向けての教訓となった。理事長のコメントの通り、公正確保のため主催者はもとより競馬サークル全体でのルール遵守、意識向上に努める。
高橋政行理事長のコメント
「この度、凱旋門賞に出走したディープインパクト号から禁止薬物が検出されたとの報告を受けました。同馬の出走に際しては、競馬ファンの皆様をはじめ、多くの方々から応援をいただいたにもかかわらず、世界最高峰のレースとして栄誉ある凱旋門賞に汚点を残す結果となり、誠に残念でなりません。
 今回の件はフランスで起きたものではありますが、JRAとしても、今後、国の内外を問わず出走馬関係者に対し、禁止薬物等に対する意識の向上を図るべく指導を徹底して参りたいと考えております」
(ネット上ではこの理事長コメントの「汚点」が標的になっているようだが、理事長のコメントは「世界最高峰のレースとして栄誉ある凱旋門賞」の出走馬から禁止薬物が出た事自体を「汚点」としており、それ以上でもそれ以下でもないという事を強く言明しておきたい)
(以上はラジオNIKKEIの競馬実況ホームページ及びJRA公式HPより)(カッコ内は筆者コメント)

その翌日の読売新聞は「ディープの禁止薬物、原因は投薬ミスの可能性」の見出しでパリ支局の若水 浩記者が「現地の獣医師が投薬のタイミングを誤ったのでは?」という記事を伝えている。
読売の記事によれば、ディープインパクトは8月にフランス入りした後、呼吸器系の不調に見舞われ、滞在先のラフォン=パリアス厩舎を担当するパトリック・ラングロワ獣医師から気管支拡張剤を処方された。その際「禁止薬物使用(ドーピング)違反となることを避けるため、1週間前までに投薬をやめるよう」とアドバイスを行なった。(ちなみに同日付のデイリースポーツと日刊スポーツによれば、日本からも獣医師は帯同していたが、フランスギャロの認可を受けていない(フランス滞在中に治療した場合でも、フランスギャロの競馬施行規程で日本の獣医師による治療が認められていないため、フランスの獣医師資格が必要となる)事を理由に立ち会う事ができなかったとのことだ)
その気管支拡張剤イプラトロピウムはフランスにおいて禁止薬物に指定されているが、レース出走時に薬の影響下になければ、治療薬としての投与自体には問題がない。これまでのケースではレース5日前の摂取でも陽性反応が表れなかったという事だ。
ラングロワ獣医師はフランスギャロの調査に対し、「凱旋門賞に出場するので大事をとって1週間前に投薬をやめるように処方した。(今回の検出は)3~4日前に投与したとかしか考えられない」と、投薬のタイミングを誤った可能性が高いとの見解を示した。
また同日のスポーツ報知と21日付けの毎日新聞(20日夜Web掲載)がパリ支局の福井 聡記者の記事「停止期日後も投薬続ける?」では、フランスギャロのルイ・ロマネ専務理事への取材(19日のテレ朝「報道STATION」でも紹介)記事を紹介している。
記事を総合すると、8月9日に現地に入ったディープは、パリ郊外のシャンティー調教場で調整を行っていたが、一時体調を崩し、その際にパトリック・ラングロワ獣医師から気管支拡張剤を処方されたとの事。フランスギャロの競馬施行規程には「獣医師が薬を処方する場合、出走日に馬の状態に影響を与えないよう投薬停止の期日を明示する」とあり、ロマネ専務理事も「この(パトリック・ラングロワ)獣医の処方は正式なものだった。薬の使用も問題はなかった」と取材に対し答えている。
その処方箋では、イプラトロピウムの体内への残留期間を考慮して、出走日の1週間前までに投薬を停止する様に指示されていたが、ロマネ専務理事は「
その指示が伝わらずに飲ませてしまったのだろう。これは悲しいかな、単純なケアレスミスといえるだろう」と語っている。
また、ロマネ専務理事は「獣医師は投薬作業を逐一管理するわけではなく、それは厩舎の調教助手か、厩舎作業員に任される。彼らが投薬期日の指示を誤ったようだ」と語っている。(一方で20日付けパリ発共同によれば、ロマネ専務理事は「日本側の調教師らがレース直前まで投薬を続けたことが原因」と語り、パトリック・ラングロワ獣医も一転して「処方に関与していない」と語るなど、現時点では現地関係者の証言も混乱している。その一方で読売の若水 浩記者は更にパトリック・ラングロワ獣医に取材、21日付け(20日夜Web掲載)の記事では「レース約2週間前の9月18日ごろに、日本の獣医師とともに治療薬を買い求め、レースの1週間前までに投薬をやめるようにアドバイスし、「お互い下手な英語で話し合ったため、コミュニケーションを行うのは簡単ではなかったが、十分に理解してもらっていたようだ」と誤解の可能性は否定した」との事。果たして原因は滞在先のラフォン=パリアス厩舎の厩舎スタッフなのか?日本側のスタッフなのか?いずれにせよ投薬停止のタイミングを間違った事は間違いないようだ)
現在フランスギャロは、日本人を含む厩舎関係者から投薬時前後の記録を収集するとともに、厩舎側から報告書の提出を受けており、今後ギャロ側の公式調査が始まり、事実関係を確定させた上で、関係者の処分を発表する予定。
ロマネ専務理事は「処分決定までに約4週間かかる。馬の成績(3着)の抹消と、賞金(約3400万円)の返納に加え、調査結果の内容により罰金額が決まる」と語っている。
(また20日付けパリ発時事によれば、フランスギャロは時事通信の取材に対し、今後日本との間で禁止薬物使用に関する事実関係について書簡によるやりとりを行い、日本からの反論を聴取する事になり、こうした手続きに半月から1カ月かかる事から処分は11月半ばから月末になるとの見方を示した。スポーツ報知の記事にあった「書面による釈明」はこの際に行われる事になる。そしてフランスギャロ側の発表にあった「馬主および調教師の召喚」は、こうした手続きを踏んだ上で、処分を正式決定し、その結果を直接通知する為の召喚であると述べている)
(このフランスギャロ側の処分決定を受けてJRAの裁定委員会で日本側の制裁も決定される事になる))

一方日本ではどうか。元美浦トレセンの関係者・高崎武大氏のサイト「こんな騎手情報局」ではイプラトロピウムについての詳細なレポートが紹介されている。レポートによれば「あれ(イプラトロピウム)はいろんな薬品や添加物のなかに入っている成分」だそうで、こちらでも調べてみたが、日本においては気管支喘息治療薬として、禁止薬物のアトロピンの代用薬として使用されているそうだ。ただ西村啓二馬事担当理事の「日本では動物用のこの薬は流通していない。馬に使われた実績がないため、禁止薬物に指定していない」という記者会見での発言は、単独の薬品としては流通してなく、単独薬として流通していない以上実績を把握できないという事であって、実際は成分として含まれているという事実を認識していない事が浮き彫りになった形となった。
もう1つ。高崎レポートによると、フランスギャロの競馬施行規程によれば、このイプラトロピウムはレース8時間前までの投与は申請があれば大丈夫というルールがあるそうである。従ってこの手続きミスが重大な結果を引き起こした可能性は高い。調教師同様JRA側にも一定の非があったことは拭えない。

いずれにせよ、(結果はどうあれ)今回のケースが日本の競馬界に与えた影響はその名の通り「ディープ」な「インパクト」になった訳で、今後の競馬界の動向が懸念される。折りしも去年三冠を達成した菊花賞をこの週末に控え、まずはファンがこの出来事をどう捉えるかが焦点になろう。
心配なのはこの週末のTV・ラジオの競馬中継でこの件がどのように取り上げられるかでもある。出来れば冷静な対応を求めたいのではあるが・・・。
そしてファンの1人としては、これにもめげずぜひターフでその力強い走りを見せて欲しいと思う。幸いにも日本での出走に影響ないという事であるので、ファンやマスコミの不安を打ち砕く強い走りを期待したい。何よりもディープに罪はないのだから・・・・。




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テーマ:競馬 - ジャンル:スポーツ

コメント

えらいことになりました

明らかに、日本側の責任です。

http://www.sponichi.co.jp/gamble/flash/KFullFlash20061020042.html

  • 2006/10/20(金) 22:59:08 |
  • URL |
  • Bank of Dream #-
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  • 2007/10/10(水) 07:14:06 |
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